根管治療|根管の石灰化が強く疑われたケース

今回は症例報告をさせていただきます。根管治療でお悩みの方の参考の一助になれば幸いです。

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基礎データ:20代、女性、右上の奥歯の違和感が気になるということで来院。

来院経緯:2年前に他医院で治療し、たまに膿が出て腫れたり違和感もある。

診断:以前の治療時での無菌的操作の不足(ラバーダム不使用)、根管の石灰化による狭窄、見逃しの根管、などによる難治化が疑われた。

診断名:既根管治療歯、慢性根尖性歯周炎

 

上記について、治療を行ってもどの程度治癒を得られるのか疑問があり、根管治療専門医レベルの歯科医師の存在について説明し、同意を得た上でひので歯科医院の高橋先生に紹介した。

再治療への問い

1、根管治療の質を向上できるか?:Yes

2、見逃された根管がありそうか?:Yes

3、修復物は漏洩しているか?:No

4、根管系へのアクセスは可能か?:I couldn’t say(やってみないとわからない)

5、除去は安全にできるか?:Yes

6、自分のスキルと経験値の範囲内か?:Yes

7、器具・環境は整っているか?:Yes

という理由により来院、術前、術中、術後の注意事項、その他合併症、偶発症、もし根管治療しても治らなかった場合のその後選択についても説明し、同意を得たので根管治療を施行することを決定した。

治療1回目:通法通り根管治療を進め、適切な根管形成と根管洗浄を行えた。

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治療2回目:違和感はなくなり、サイナストラクト(おできのようなもの)も消失した。根管形成の過不足のないことを確認し、根管充填を施行。

術後経過観察時:治療後に妊娠され、今は出産・育児と頑張られています。出産前に不安のあった歯を治療することができて満足されています。今はご主人も紹介で治療にいらしています。

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術後1年半経過時:根の先の炎症も治り、症状もなく順調に経過をたどっています。

 

主治医:新谷武史

根管治療担当者:高橋宏征

※新谷先生はその後根管治療・歯内療法専門医のグループであるペンエンドスタディクラブインジャパンに所属し、歯内療法の研鑽を行っております。