西田 くらら先生

インタビュー:九州・北九州市でエンドに挑む、clara dental clinic 西田先生に聞く

── 先生の医院について教えていただけますか?

西田:医院は、福岡県北九州市小倉北区にある「clara dental clinic」です。住所は〒803-0811 福岡県北九州市小倉北区大門1-3-13 大門ヒルズ勝山公園1Fになります。web予約はこちらから受け付けております。

── ご開業ということでしょうか?

西田:はい、自分で開業しています。来院される患者様は地元の方が中心ですが、徐々にエンド治療を目的に県外から来てくださる方もいらっしゃいます。

── clara dental clinicでは、歯内療法を専門にされていますか?

西田:根管治療(エンド)を中心としていますが、一般診療も行っています。エンドに関しては自費診療のみで対応しています。

── 開業されてどれくらいになりますか?

西田:今年の7月で開業して3年になります。

 

── ペンエンドのレギュラーコースは開業後に受講されたんですか?

西田:実は、開業と同時に受講を始めました。開業して間もない頃だったので、症例を集めるのは本当に大変でした。来てくださる患者様一人一人が貴重で、ほとんどのケースを丁寧に記録して症例を集めていました。

 

── 北九州市という地域についても教えてください。どのような場所ですか?

西田:自然と都市機能が共存する、暮らしやすい街だと思います。名物としてはお寿司が有名ですね。それから「資さんうどん」は北九州発祥なんです。焼きうどんも名物ですし、あとは……パンチパーマなんかも(笑)。

 

── 開業と同時にペンエンドの受講を決断された理由は?

西田:10年ほど前に、ペンエンド九州支部のセミナーに参加したのがきっかけです。それまで「とにかく時間をかけて拡大しなきゃ」という感覚でやっていた治療が、先生方の講演を聞いてからは、手技の意味や治癒率の理解が深まりました。その中でも牛島 寛先生牛島 正雄先生の存在がとても大きく、私も歯内治療のプロフェッショナルになりたいと強く思いました。ちょうどその頃、子育てがひと段落したこともあり、自分のために挑戦できるタイミングだったんです。

 

── エンドに特化しようと考えられたのは、最初からですか?

西田:実は、最初はエンドが苦手でした。だからこそ、克服したいという一心でペンエンドを受講したんです。当初は一般診療を軸に考えていたのですが、学んでいくうちに「根拠のある治療を積み重ねると、今まで治らなかった症例が改善する」という手応えを感じるようになりました。そこで徐々にエンドに特化していこうと考えをシフトしていきました。

── ペンエンドの応募時は勤務医だったそうですが?

西田:そうなんです。受講の申込みをした時点では勤務医として考えていました。でも、面接までに約1年の期間があり、その間に開業する流れになったんです。面接では「開業と受講の同時進行なんて大丈夫か」と厳しいご意見もいただきました。正直、落ち込んで帰りましたが、それでも挑戦しようと決めていました。

 

── 大学卒業後のキャリアも教えてください。

西田:インプラント治療を軸に、一般診療の歯科医院に勤務していました。そこでマイクロスコープが導入され、自費での根管治療も行うようになったんです。でも、自分の技術では不十分と感じていて、もっとしっかり学びたいという思いが強くなっていました。

 

── 開業に向けての想いは?

西田:理想とする治療技術の習得に集中したいという想いがありました。勤務しながらペンエンドを受講すると医院に負担と迷惑をかけてしまうと考え、それならいっそ自分で開業し、責任を持って学び、治療をしていこうと決意しました。

 

── インプラントではなく、なぜエンドを軸に?

西田:もちろん、インプラント治療は素晴らしい治療ですが、自分はできる限り歯を残す選択肢を患者様に届けたいと思っています。エンドの治療技術の世界に面白みを感じたのも、エンド治療を軸にした理由です。

 

── 開業後、エンドに特化していく道のりで最も大変だったことは何ですか?

西田:一番大変だったのは……実は学生結婚していて、大学時代に出産も経験しています。授乳しながら国試の勉強をして、就職してからも子どもは熱を出すし、家庭との両立が本当に大変でした。でも「子どもを言い訳にしない」と決めて、とにかくやりくりしていました。今、やりたいことを自分の意志でやれる毎日は本当に幸せです。大学院に進みたかった夢が、今ようやく叶っている気持ちです。

 

── 今後の目標を教えてください。

西田:今はエンド中心で診療をしていますが、将来的には根管治療専門の医院を別で開院することも視野に入れています。一人では難しい部分もあるので、いろんな先生方のアドバイスを参考にしながら模索しているところです。

 

── 思いでに残っている症例はありますか?

西田:右上7番で、遠心の瘻孔が何年も続き、ポケットも12mmというエンドペリオ病変の症例です。破折や予後不良の可能性が高いと説明しましたが、「ぜひ治療を受けたい」と患者さんが言ってくださって、挑戦しました。2年経った今でも症状もなく、患者様にも満足いただけています。

赤矢印から白矢印のように病気の治癒傾向が確認できます。

── 九州はエンド専門の先生が少ないという話もありますが、その中で今後どのような役割を果たしていきたいですか?

西田:まさにその通りで、関東・関西と比べて、九州では根管治療を専門とされる先生がまだ少ないのが現状です。だからこそ、ペンエンドでの活動や地域の先生との連携を大切にして、根管治療の重要性や認知度をもっと広めていきたいと思っています。患者さんにも「ここなら安心」と思っていただけるよう、これからも技術を磨いてまいります。

 

── 診療以外で今ハマっていることはありますか?

西田:ガーデニングと犬のお世話ですね。最近、鉢植えのオリーブに猫が粗相をして困っていたのですが、鉢の縁に歯磨き粉を塗ってみたら、来なくなったんですよ(笑)。

── 最後に、根の治療で悩みがある患者さんへメッセージをお願いします。

西田:根の治療で痛みや違和感が続いている、または長引いているがいつ治療が終わるのか分からないなど、不安に思われている患者様もいらっしゃるかと思います。確かに根管治療は複雑で簡単ではない治療ですが、適切な診断と治療を行えば、多くの場合で症状の改善が期待できます。一人で悩まずに、まずは専門的な知識を持った歯科医師にご相談ください。