痛みの無い歯でもむし歯が深く神経まで達していたり、以前治療した歯が根尖性歯周炎(根の先の炎症)が見られたりすると根管治療が必要な事があります。治療後の違和感程度であれば大なり小なり誰しも感じる事ではありますが、稀に我慢できない程に痛みが出てしまう事があります。

 

これは専門用語で”フレアアップ”と言い、例えれば症状の無い火種の状態であったものが大きな炎になってしまい、症状が出るような状態をこのように言います。様々な報告によると1.4~16%程度の発生率といわれ症状が出てしまった当人にとっては非常に辛い状態で、我々も心情を察するに心が痛む症状となります。

フレアアップ”が起こる原因は機械的な刺激、化学的な刺激、細菌的な刺激が考えられますが、
主な原因は細菌的な刺激と考えられています。

好まれざる”フレアアップ”を回避する為には…

①根の先に根の中の汚れを押し出さないように細心の注意を払う事

残念ながら現時点での全ての根管治療のテクニックは根の先から根の中の汚れを押し出してしまう可能性があります。ただしいくつかのテクニックは他の方法よりも押し出しにくいという事実もあります。根管治療のテクニックに精通し押し出しにくいテクニックを適用する事が必要となります。

②なるべく一度に化学的機械的な根管内清掃を終える事

限られた時間では根の中の清掃を終える事は非常に難しいのです。ですから我々は一度の治療時間を60~90分確保して最小限の刺激で治療を終了することを心がけています。

③治療の間に抗菌性のある貼薬を行う事

根の中の清掃を終えた後、必要があれば次回の来院時までの間に刺激性の少ない抗菌性のある消毒薬を根の中に挿入し残存した細菌を殺菌します。

④減圧と称して、蓋を外したままにしない事

痛みの一番の原因はあくまでも細菌なので新たな感染を防ぐ観点からも仮の蓋を外したままにせず、歯の中の清掃を徹底的に行いしっかりと蓋をして汚染を最小限に食い止めることが必要です。外したままにすると根の先へと感染が広がり治療の失敗や治癒するまで時間がかかることに繋がります。

⑤根管治療中、無菌的環境を維持する事

治療の際、ラバーダムを始めとした無菌的な環境を維持する事により、新たな感染を防ぎながら感染してしまった根の中の細菌を可能な限り減らします。

「ルールに則った根の治療」では”フレアアップ”を最小限に食い止めることが可能となります。もし以前の治療が上記のルールを守っていなかったのであればルールを守る事で回避できる可能性が高くなります。もし、残念ながら”フレアアップ”が起こったとしても”フレアアップ”に対処する事に熟知した我々に任せて頂ければ不快感を最小限に食い止める事ができるかと思います。

(参考文献)J. F. Siqueira Jr.REVIEW Microbial causes of endodontic flare-upsInt Endod J. July 2003 、David S.August,DDS,MS Managing the abscessed open tooth: instrument and close-part2 JOE August 1982、Alfred Frank Leave tooth open? JOE May 1981

執筆者:高橋 宏征PESCJ3期)