根の治療をした歯を永く健康な状態でいるためには、再感染を防ぐこと、その後の被せ物の維持を目的として土台(支台築造)を入れる治療が必要となります。

土台(支台築造)の治療では、
残っている歯の量が十分な場合に用いる
a:『欠損部分のみを補う土台(コア)』
と、残っている歯の量が不十分な場合に用いる
b:『心棒付きの土台(ポストコア)』
の2つの方法があります。

土台(支台築造)というと、家の基礎や柱の様なイメージから、『土台を入れると根の治療をした歯が補強されるのでは?』や『太い心棒を深く埋め込んだ方が補強効果があるのでは?』と思われるかもしれません。このままのイメージ通りですと太くて大きい土台の方が有利と思われるかもしれません。

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ところが、原則として土台を入れたからといって、入れる前より歯が補強される事は無いのです。また心棒付き土台の心棒は、土台が外れないようにする維持の役割だけで、歯の補強の役割は全くないと報告されています。 つまり、必要以上に太い心棒や長い心棒を入れることは、結果として残っている歯の量を少なくするだけで、かえって歯を脆くさせているのです。

話は少し逸れますが、歯の強度は何に影響を受けるのでしょうか?

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『虫歯になったり根の治療を行ったりした歯は、次第に脆くなっていく。』と聞いた事がありませんか?そもそも、虫歯や神経の治療をした歯は本当に脆くなっていくのでしょうか? 皆さんは、神経を取ると歯に栄養が行かなくなり、枯れ木の様に次第に脆くなっていくというイメージを持たれているかもしれません。

ところが、歯の強度(脆さ)を左右するのは神経の有無ではなく、残っている歯の量なのです。つまり、次第に脆くなっていくのでは無く、治療により残っている歯の量が減少するため強度が低下するのです。

そのため根の治療による歯質の削除量を必要最小限とする事を常に心がけ、歯が割れるリスクを抑える努力をしているのです。

もちろん残っている歯の量が少なければ心棒付きの土台を入れますが、その場合でさえ、歯の削除は必要最小限とするのがベストでしょう。また、残っている歯の量が十分であれば、欠損部のみ部分的に補う土台を入れたり、前歯であれば白い材料(レジン)を詰めたりするだけで済む場合もあるのです。

また、近年臨床にて広く使用されている接着システムを併用した土台(支台築造)のファイバーコア(グラスファイバーの心棒とレジンを用いた土台)は、歯の強度を上げるという報告もあります。 しかし、欠点が無い訳ではなく臨床応用され、まだまだ日が浅いため長期予後の報告が少ないのが現状です。そのため今後も臨床経過、各種報告をみていく必要があるでしょう。

土台(支台築造)の方法や材料により、メリットデメリットがあるのも事実です。あくまでも治療ですので、これさえ行えば問題無い、ということはありません。患者様自身が大事にしたいことや主治医の診断結果に基づくアドバイスにより選択するほかありませんが、根の治療が順調に進みお困りのことから解放されればその健康な状態を永く維持するために最適な土台(支台築造)や被せ物で治療を行われることをお勧めいたします。選択に迷うような場合、歯内療法専門医に相談するというのも一つの手段と思われます。

執筆者:牛島 正雄 PESCJ6期