先の見えない治療に不安をかかえていませんか?

「ではまた来週、根の中を消毒しましょう」

もう半年も歯医者にかかり、毎回15分程度、蓋を開けては中を洗い根の中を消毒してもらっているが、症状は一向に変化しない、、、、そんな状況が続くと、誰でも不安になるはずです。
実は、日本では保険制度などの様々な背景から、こういった治療が行われることは珍しくありません。皮肉にも、できるだけ歯を残そうと患者さんのために一生懸命な先生と、根気よくまじめに通う患者さんの組み合わせで、このような事態に陥ってしまうことが多いのです。

『このまま治療を受け続けていて治るのかしら、、、?』

歯をできるだけ残しておきたいけど、これだけ根の治療を繰り返しても治らないなら、
もう抜くしかないのかな?と諦めの気持ちが出てくるのも無理はありません。
しかし、歯をどうしても抜きたくない人は、このまま何度も何度も根気よく同じ治療を受け続けるしか方法はないのでしょうか。
いえ、他に方法はあります。しかし、残念ながら保険治療の範囲は超えてしまいます。

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例えば、根の治療の専門医制度のあるアメリカでは、こういった治療は早い段階で根の治療の専門医が治療を行うことが多く、治るまで同じ治療を繰り返すことはまずしません。
一度目の治療でやるべきことを徹底的に行い、それでもダメなら他の原因を考え、他の方法でアプローチする、アメリカに限らず世界レベルの根の治療の専門医は、科学的根拠に基づいた、非常にシンプルで合理的な流れで治療を行い、高い成功率を維持しています。

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彼らは、根の治療に最適な環境として、無菌的な装置、滅菌された器具、歯科用顕微鏡を使用します。そして1回90分程度時間をかけ、通常2回から3回程、確実な治療を行います。その後の経過をみて、必要であれば外科的な根の治療を行います。

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日本の保険制度では、根の治療が保険でカバーされており、気軽に低価格で治療を受け
ることが可能ですが、残念ながら、科学的に正しいか否かよりも、保険の限られた範囲で、より多くの人に提供できる最低限の治療時間、治療環境が優先されることが多く、日
本の医療全体のレベルは決して低くないにも関わらず、根の治療の成功率は、先進国の中でも極端に低いことがわかっています。

では何故、高い成功率を維持している世界レベルの専門医は、消毒あるいは治療を数ヶ月、数年も続けることをせず、短期間で治療を終わらせるのでしょうか。その根拠をご説明しましょう。

①消毒の効果に限界があることを知っている

治療中に使う消毒薬でどこまで細菌が減らせるか、どんな消毒薬をどれぐらい使用すれば一番効果的かは世界中で研究されているテーマの一つです。

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根の病気の原因である細菌は、数十回、数ヶ月、数年と長く消毒すればするほど減るものではなく、次の治療までの間、根の中に入れておく消毒薬の効果は、1回目以降は大した違いが出ない事が研究からわかっています。つまり、歯を抜きたくないからとただ治療の回数を増やしたり、治療期間を伸ばすことは、一時的な歯の延命にはなるかもしれませんが、決して成功率を上げることにはつながらないのです。

②根の治療の回数、期間がかかることは大きなリスクがあることを知っている

忙しい中、大切な時間とお金を使って何度も何度も治療に通うことは、患者さんにとって大きな負担がかかることだと思います。しかし、それだけではなく、長期間根の治療をするということは、歯にも大きな負担がかかります。

具体的には、大きく分けて2つのリスクが挙げられます。
1)細菌漏洩のリスク
2)歯が少なくなる/割れるリスク

1)細菌漏洩のリスク

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根の治療は、歯に穴を開けて行うため、治療中はお口の中の細菌を根の中に入れない工夫が必要です。根の中に細菌が入ると、感染がより重度化・複雑化し、病気が治りにくくなってしまうからです。

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そのため、根の治療にラバーダムというカバーをつけるのは絶対条件です。また治療後は次の治療まで細菌が入らないようにきちんと蓋をする必要があります。カバーをつけない根の治療の回数が増えると治療の度に細菌が入ったり、治療の期間が長いと仮の蓋が取れることがあり、根の病気がより重症化する場合があります。

2)歯が少なくなる/割れるリスク

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根の病気を治すには、歯や根の細菌が感染している部分を削って取り除く必要がありますが、何度も何度も治療が繰り返され、その度に歯が削られると、歯が薄くなり割れやすくなってしまいます。
また、長期間根の中にお薬を入れることも歯が割れるリスクを高めてしまいます。

以上のような理由から、世界レベルの専門医は、根の病気を治し、歯を残すために、同じ治療を数ヶ月、数年も続けることはしないのです。

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歯を抜きたくないという患者さんのために、一生懸命に消毒、治療を繰り返すのは、現在の日本の保険の範囲内で、根の治療を専門にしていない先生が行うのであれば、それが唯一の方法です。そして、あっさり抜けば次の治療に進めることがわかっていながら、根気よくあなたの歯を残そうと努力して下さる先生は、むしろ良心的な先生でしょう。
しかし、これまでお話ししてきた様々な日本の背景から、日本の全ての歯科医院で根の治療に最適な環境を整えるのは、現実的には不可能です。

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アメリカでは、矯正治療のように、根の治療も、専門の先生にお願いするスタイルが定着しており、かかりつけの先生と専門医がうまく連携を取りながら、患者さんによりよい治療を提供することが可能となっています。
日本では、他の先生に診てもらうことは、お世話になってきた先生を裏切るようで抵抗があるかもしれません。しかしセカンドオピニオンという言葉が広まっている今の時代、他の先生の意見を聞いて、よりよい治療方法を患者さん自身が選択することは、決して珍しいことではありません。また、より深く勉強されている先生程、各専門分野の先生同士が協力することの重要性を知っており、あなたのことを親身に考えて下さる先生なら、決して悪い顔はされないはずです。

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日本にも、まだ人数は多くありませんが、アメリカの専門医と同じレベルのトレーニングを受け、同じ治療環境を整えて根の治療を専門に行っている先生が存在します。その先生方が、かかりつけの先生や各専門の先生方とチームとなって、患者さんにより高度な治療を提供するスタイルが少しずつ広まってきています。

是非まだ歯を残すチャンスがあるうちに、勇気を出して、自分の歯が今どのような状態であり、そもそも、根の治療をすべきかどうかを、根の治療を専門に行っている先生にご相談されることをおすすめします。

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執筆者:清水 花織PESCJ4期)、篠田 和明PESCJ4期)、平川 陽基PESCJ5期)、渡邉 浩章PESCJ5期)