歯周病が進行しているように見える歯でも状態によって残せる場合があります。

症状やレントゲン、その他各種診査から進行した歯周病のように思われても、実は原因が根の中にある場合があり、そのようなケースでは「根管治療」で治る事もあります。

 しかしながら、歯科医師に抜歯することを勧められるような状態ということは、歯周病が原因なのか根の病気が原因なのかいずれにせよ悪化してしまっていることが多いですし、歯の内部で破折している場合などは実際に治療を行ってみないと判断できない場合もあります。

根管治療で治るのか、本当に歯周病が進行しているのかどうか、の診断は非常に難しく、根管治療を進めながら、根管治療の反応を見ながら診断をする、というような診断的治療となる場合が多いです。

実際の症例をもとにご説明します。

根管治療で歯周病と思われていた状態が治癒したケース①

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1症例提供:高橋宏征先生

 これは治療前と治療後2年半のレントゲン写真の比較です。

上の治療前の状態は根の周りが真っ黒になってしまい、歯の周りの骨が溶けている、明らかに悪い状態だということがわかります。下のレントゲン写真では根の周りの影がほとんどなくなって歯の周りの骨が治っていることがわかります。 

  上の状態で歯科医師から抜歯を勧められたら、「確かに厳しいかも….」と思ってしまいますが、根管治療によって抜かないで済むこともあるのです。

根管治療で歯周病と思われていた状態が治癒したケース②

 名称未設定

4症例提供:湯本真幸先生

  このケースも根の周りが真っ黒になっていて、歯の周りの骨が溶けていて、上のレントゲン写真では今にも抜けてしまいそうにもみえます。

治療後の下の写真をよくみると上から下のレントゲン写真での白く薬が入っている本数が増えています。また、黒い病気も小さくなってきている様に見えます。これは、いわゆる「見落としの根管」が発見され適切な根管治療が行われた結果です。

 この様に根管治療によって進行した歯周病と思われた状態が治癒するケースもありますが、根管治療だけでは治らない場合もあります。

根の病気と進行した歯周病の合併したようなケースでは、まず根管治療を行い、3ヶ月程度経過観察をし、その上で歯周病に対する治療を行うことがガイドラインで推奨されています。

なぜかというと、根管治療だけで治るかどうかは術前のレントゲンや各種診査だけでは判断が難しく根管治療後3ヶ月の経過観察で判断が可能です。治らない場合にはじめて歯周病の治療が必要だということが判断できます。

ですから根管治療だけで治るケースかどうか、判断がつかない段階で歯周病治療をはじめることは治療のガイドラインに反しています。

必要のない歯周病治療で根の周りの歯根膜や健康な組織を傷つけてしまうというマイナス面もあるのです。

一見、進行した歯周病と判断されてもルールに則った根管治療で救えることがあるかもしれません。もし不安があるようでしたら根管治療専門医に相談してはいかがでしょうか?

執筆者:新谷武史PESCJ7期)

参考文献

Rotstein I, Simon JHS. Diagnosis, prognosis, and decision-making in the treatment of combined periodontal-endodontic lesions, Periodontology, 34 : 165–203, 2004.

Simon JHS, Glick DH, Frank AL. The relationship of endodontic-periodontic lesions, J Periodon, 43 : 202–8, 1972.