A.一般的に治療は可能です。一番重要なのは穴があいている状態の精密な診査であると言えます。穴のあいた状態に一番適した治療法や治療後の見通し(予後)などは歯内療法専門医の判断が非常に重要となってきます。

 

穴があいている状態(パーフォレーション)とは

根に穴が開き、根の中と歯を取り囲んでいる周りの組織が交通している状態を「パーフォレーション(穿孔)」と言います。

パーフォレーション部分に細菌が感染すると炎症が起こり、炎症が慢性化するとその周囲に骨の吸収が起こります。歯肉の腫れや痛みなどの明らかな症状がある場合だけでなく、全く症状がないまま過ごし、レントゲン写真や根の治療の際に初めて発見されることもあります。

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(世界基準の臨床歯内療法:石井宏著より引用)

パーフォレーションの診査診断に関して

診査診断はマイクロスコープという歯科顕微鏡、レントゲン撮影、必要に応じて被せ物を除去したりCT撮影、診断的外科処置などを併用して診断を行います。また、パーフォレーションの位置や大きさ、周囲の組織の状態についても診査を行います。

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(赤丸部がパーフォレーション部))症例提供:高橋宏征

パーフォレーション修復治療に関して

パーフォレーションの位置や大きさ、その根の解剖学的な形態や治療に必要な器具が届くかなども考慮して治療法の選択を行います。

治療法には下記のようなものがあります。

①非外科的修復方法:マイクロスコープ下でパーフォレーション部の確認、器具の到達性、大きさ、状態などを確認し、パーフォレーション部を修復材料にて封鎖します。

②外科的修復法:根の先、器具が到達できない場所などは外科的にその部分を切除します。

③両方を組み合わせた方法

④その他の治療法:抜歯・予後不良である根を部分的に抜去・根の穴部分を矯正により挺出させ治療を行う・一旦抜歯を行い穴を埋めてから抜去歯を戻す

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(パーフォレーション部の修復)症例提供:高橋宏征

パーフォレーション修復治療の予後について

パーフォレーション修復治療の予後を左右する因子として以下のことがあげられます。

①治療介入時期:処置が遅れると歯の周りの骨の吸収や感染が広がってしまい、治療が困難となるので早期の治療が望ましい

②パーフォレーションの大きさ:大きいと組織のダメージも大きいため修復が困難になる

③位置:根尖部のパーフォレーションのほうが予後が良い。歯冠側や根分岐部(根の分岐している  股の部分)のパーフォレーションは歯周ポケットと交通し、感染や骨の吸収が加速するために予後が悪い

④器具到達性:マイクロスコープや器具操作など手技の熟練が必要となり、器具が到達できる場所とできない場所がある

⑤修復材料:使用される材料としては生体親和性が良く、毒性がなく、パーフォレーション部をきちんと封鎖できる材料が良い

従来はパーフォレーションは抜歯を余儀なくされていたケースも多くありましたが、近年マイクロスコープや信頼性の高い修復材料などの出現によって、パーフォレーション部を修復し歯を保存することが可能となりました。しかし、パーフォレーション修復においてはその位置や大きさ、周囲組織の状態を正確に把握しなくてはならず、マイクロスコープをはじめとする治療器具や修復材料の操作が治療の成功率に大きく関与します。また、根の解剖学的形態や器具の到達性、その歯の状態などを総合的に判断し他の治療法を選択する場合もあるため、治療には正確な診査診断と高い技術が必要とされます。

パーフォレーションをかかりつけ医にて発見された場合は、早期治療も治療の成功率を上げる重要な要素となりますので、お早めに歯内療法専門医にご相談いただければと思います。

 

執筆者:大森さゆりPESCJ7期)

参考文献

1. Alhadainy, H. A. (1994). Root perforations: a review of literature. Oral surgery, oral medicine, oral pathology, 78(3), 368-374.

2. Beavers, R. A., Bergenholtz, G., & Cox, C. F. (1986). Periodontal wound healing following intentional root perforations in permaent teeth of Macaca mulatta. International endodontic journal, 19(1), 36-44.

3. Lantz, B., & Persson, P. A. (1967). Periodontal tissue reactions after root perforations in dog’s teeth. A histologic study. Odontologisk tidskrift, 75(3), 209.

4. Lemon, R. R. (1992). Nonsurgical repair of perforation defects. Internal matrix concept. Dental Clinics of North America, 36(2), 439-457.

5. 石井 宏. 根管内穿孔のマネジメンント. 歯界展望. 2009; 114(4): 704-711.