A. X線的に病変なく完全に治癒し、不快な症状なく機能して治ったと言えます

そもそも根管治療の成功、失敗とはどう言うことなのか。

過去にもコラムで掲載していますが、少し専門的に「成功の基準」を見てみましょう。

①X線での治癒評価
②臨床的治癒評価

の二つが評価の基準とされます。

①X線での治癒評価

・Strindbergの成功基準(1956年。最も厳格。X線診査での「成功」か「失敗」しかない!)

1. 根尖病変がないこと(黄色矢印で囲まれたような膿袋のことを根尖病変と言います)

2. 歯根膜腔の拡大が認められないこと(赤矢印で指す歯の根っこの周りの膜を歯根膜という)  

 

 

 

 

治療後にX線で問題がなく、臨床症状も存在しないのが「成功」

治療後にX線で少しでも透過像が見られると症状がなくても、「失敗」

 

 

・PAI(Periapical Index:「成功」「失敗」の中間に「治癒過程」の中間評価を加えたもの)

 D. Orstavik et al   Endod Dent Traumatrol.1986”The periapical index: a scoring system for radiographic assessment of apical periodontitis”より引用

根尖透過像無し      ←             治癒過程     →     根尖透過像あり

②臨床的治癒評価(「成功」「失敗」「治癒過程」にさらに「機能している」臨床的判断も追加)

例えば根管治療をしてもらった歯を何年か後に、無症状で全然日常生活に差し支えなく使えているのに「X線で病変がある・結果として治り切らなかった」という理由で歯を抜かれることを提案されたら、どう思われますか?

X線でパーフェクトに治っていなくても「機能的に=日常生活に使うことが可能」になれば、根管治療としてみれば「成功」あるいは「治癒傾向を示す」として考えてはダメなのか?

2004年のある論文ではX線的な判断だけでなく、機能的に日常生活に支障なく使える場合も成功とみなして良い、と示唆するものでした。

米国歯内療法学会でも現在は成功判定として「治癒」「治癒せず」「治癒過程」「機能している」という4段階を用いることを推奨しており、2018年現在歯科医から見る「成功」は

X線的に治療前と比べ病変が治癒、または病変が小さくなり、患者は不快な症状なく日常生活を送っている

ということになります。

また、X線的な病変が小さくなるには時間がかかるため比較的長期間(数年)の経過観察が必要なこともあります。

症状が治まらない、治癒していないのではないか?と不安な場合、歯内療法専門医があなたの力になれるかもしれません。

歯内療法専門医では正しい診査診断を行なった上で

①無菌的処置を徹底した根管治療による病変の治癒を目指す。
②通常の根管治療で治癒しない場合は、従来から用いられてきた裸眼に頼った外科的歯内療法ではなく、マイクロスコープ、超音波チップ、MTAなどを併用した近代的外科的歯内療法によって、外科的に病変を完全除去することによって細菌を除去し、X線的にも病変を消失させる。

これら数段階の手段を持つことで、歯内療法(根管治療)を成功させ、日常生活が快適に送ることができるよう日々取り組んでおります。

執筆者:中谷 豪介(PESCJ9期)

参考文献 

Strindberg L  Acta Odontol Scand 1956“The dependence of the results of pulp therapy on certain factors. An analytic study based on radio- graphic and clinical follow-up examination”

D. Orstavik et al   Endod Dent Traumatrol.1986”The periapical index: a scoring system for radiographic assessment of apical periodontitis”

S Friedman et al  J Calif Dent Assoc. 2004“The Success of Endodontic Therapy- Healing and Functionality”