変色が一時的であれば、根の治療がいらない場合もあります。

一般的に歯をぶつけた後の変色は根管治療が必要なことが多いですが、根管治療のいらない場合もあります。できることなら根管治療をしないで済むに越したことはありません。(参照:歯の神経を残すのはどうして大事なのですか?)ただし、その見極めはぶつけた場所、ぶつけ方、ぶつけてから受診までの時間、歯の欠け方や歯の脱臼の有無などから判断するので非常に難しく、歯内療法(根管治療)専門医に任せた方がいいこともあります。

歯をぶつけると、歯への血液供給が滞ってしまったり、神経が損傷して、内出血や歯の中がとけることによるピンクや黄色の変色や、神経が死んでしまったり象牙質が変性を起こしてしまってグレーになるなど、歯の見た目の変化として現れてきます。

根管治療が必要になる場合

レントゲン写真で根の先の骨が吸収してしまって回復しない、自分で感じる歯の痛みや歯ぐきの腫れ、歯ぐきの熱や口が開かないなどの症状が明らかに出現している時は根管治療が必要になる場合です。   

外傷による変色とむし歯による変色

外傷とむし歯による変色

   

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矢印のところに影があります

歯の神経の損傷が一時的で、根管治療の必要がない場合

歯の神経の回復と共に変色も回復する事もあります。場合によっては数ヶ月程度、歯の神経の仮死状態が続くこともあるため、診査診断の際に歯の神経が生きていると思われる反応が起こらず、神経の生死の確認に継時的に何度か同じ検査を行う必要があります。  

レントゲン検査

レントゲン検査

根管治療の必要性の判断時期
前述したように歯のレントゲン写真で歯の根の先に骨が溶けていると思われるような変化があり、痛み・腫れなどの症状がある時は迅速に根管治療を行います。

特殊な例として、レントゲン写真で骨吸収があっても、無症状の場合は相当長期に渡って経過を診る事もあります。神経の仮死状態と骨吸収が起こると、骨吸収・変色・検査に対し無反応な状態が非常に長く起こります(最大で5年間というデータが存在します)ので、経過も長期間診る必要があります。 

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(左から)初診時・7週間後・6ヶ月後 (Andreasen FM.Endod Dent Traumatol .1986より )

          

このように特殊な例ではありますが根管治療をしなくても、長期の経過観察の後に治癒に至る場合もありますが、診査診断が非常に専門的で難しく、歯内療法専門医の判断を仰ぐのもひとつの選択です。

また、痛みがないからといっていたずらに様子を見ていると、歯の根が溶けてしまったり、歯の根が骨と癒着してしまうこともありますので患者さんの判断で放っておくことはお勧めできません。

歯をぶつけてしまったり、外傷を受けた際は「歯をぶつけた!変色した!化膿かも?根管治療が必要?」とすぐさま神経の治療をしよう!とか「痛みがないから様子見よう」と自己判断するのではなく、まずはかかりつけの歯科医師にご相談の上、状況によっては歯内療法専門医にご相談していただくと歯の寿命を延ばせることにつながりますので「歯内療法(根管治療)専門医の診察」という選択を検討していただけたら、と思います。

 

執筆者:小板橋 徹 PESCJ6期

参考文献

Holcomb, John B., and Worth B. Gregory. “Calcific metamorphosis of the pulp: its incidence and treatment.” Oral Surgery, Oral Medicine, Oral Pathology 24.6 (1967): 825-830.

Andreasen, Frances M., and Bo Vestergaard Pedersen. “Prognosis of luxated permanent teeth—the development of pulp necrosis.” Dental Traumatology 1.6 (1985): 207-220.

Andreasen, Frances M. “Transient apical breakdown and its relation to color and sensibility changes after luxation injuries to teeth.” Dental Traumatology 2.1 (1986): 9-19.